Viton®ポリイミド

デジタルレーザー加工(DLMP®)を使用したViton®の加工

Viton®は、デュポン パフォーマンス エラストマーズが開発した熱硬化性フルオロエラストマーの一種です。Viton樹脂は、2種以上のフルオロポリマーから構成されています。Vitonには全体で4つの基本的な族があります:

  • Viton A
    ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とフッ化ビニリデン(VDFまたはVF2)の共重合体
  • VitonB
    HFP、VF2、およびテトラフルオロエチレン(TFE)の三元重合体
  • VitonF
    HFP、VF2およびTFEの三元重合体
  • GLT、ETP、GFLTなどの特殊グレード
    典型的には、耐化学性を高めるために、エチレン、TFE、およびペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)との組み合わせを含みます

Vitonは、温度の上昇、化学薬品、大気による参加および日光へ曝されることに対して耐性があることで最も知られています。このような特性のため、Vitonは航空宇宙、自動車、化学および水効果のアプリケーションなどの要求に適しています。Vitonは、シート、チューブ、コード形状で入手可能で、色は黒です。


関連する名称
FKM、Viton®、 Tecnoflon®、フルオロエラストマー


化学名
該当なし:化学的性質はFKM等級による


製造会社
多様


Viton®とDLMP®技術

Vitonの材料特性、特に耐熱性と耐酸化性は、デジタルレーザー加工技術(DLMP®)と高い互換性があります。DLMPの結果でのこれらの性質の影響については、以下の欄で詳しく説明します。


Vitonとレーザーエネルギー相互作用の効果は、材料のアブレーションおよび材料変質です。下図は、レーザーエネルギーとViton間の特異な相互作用に基づく効果と可能な加工を示しています。Vitonの場合、レーザー切断、彫刻およびレーザーマーキング加工が使用可能です。レーザーエネルギーは素材を溶発して切断、彫刻またはマーキングすることができ、あるいは目に見えるマークを作成するために表面特性を変化させることができます。各加工については、以下の各欄で説明します。‭{


レーザー加工白書

ギャラリー

素材のアブレーション

素材のアブレーションは、素材を除去する物理的プロセスです。材料は、上面から底面まで完全に除去されるか、または材料の上部から部分的に特定の深さまで除去されます。

VitonはCO2レーザーエネルギー(波長=10.6μm)の優れた吸収剤です。Vitonはレーザーエネルギーを吸収すると、急速に光エネルギーを分子振動(熱)に変換します。十分な熱があれば、Vitonは熱分解を受け、その分子結合が分子構造の様々な部分で破壊されます。レーザーパス中にある素材を直接溶発し、蒸気と微細な黒色粉末を生成します。CO2レーザーが、唯一Vitonのレーザーアブレーション用に使用されます。

レーザー切断

レーザー切断は、決められたパスに沿って素材を表面から底面まで完全除去をして分離します。


Vitonは、その優れた温度耐性により、非常に精度の高い切断ができます。Vitonをレーザー切断した結果生じるエッジは滑らかで、熱的加工と関連して時々発生する変色もありません。Vitonのレーザー切断は、水性洗剤液で容易に洗浄できる微細な黒色粉末を生成します。この例に示されている基本機能は、複雑で密接な間隔のまで、ほぼすべての形状に拡張することができます。

厚みのある形状にレーザー切断されたViton®
レーザー切断0.125インチ 厚形状のViton

レーザー彫刻

レーザー彫刻とは、素材を表面から特定の深さまで除去する加工です。これは、レーザー変調を厳密に制御することで可能になります。レーザー出力を連続的に変化させることで、テクスチャ、写真、およびテキストや数字などの情報にレーザー彫刻を使用することができます。この例は、レーザーエネルギーを制御された深さまで材料を除去するように制御する方法を示しています。Vitonは変色や溶融なしで彫刻することができます。切断と同様、Vitonのレーザー彫刻では、水性洗剤溶液で洗浄することができる微細な黒色粉末を生成します。

チャンネル付きのレーザー彫刻を施したViton®
Vitonに作製したレーザー彫刻された0.04インチチャンネル

レーザーマーキング(深)

レーザーエネルギーを使用して、人も機械も判読可能なIDまたは情報(バーコード、日付/ロットコード、シリアル番号、または部品番号など)を材料に入れる場合、加工として考えられるのは、本質的には材料に彫刻するのですが、深さのあるレーザーマーキング、またはレーザー深さマーキングです。

シリアル番号が深さのあるレーザー彫刻されたViton®
Vitonに深さのあるマーキングされたシリアル番号

素材の変質

既に述べたように、10.6μm CO2レーザーは切断や彫刻を目的とした素材除去に非常に有用です。しかし、CO2レーザーはコントラスト形成には使用できません。これにはファイバーレーザーの方が適しています。Vitonはまた、1.06μmのファイバレーザーエネルギーを吸収し、熱に変換します。表面に加えられるパワーは、素材除去をおこなわずにコントラストを生成するように厳密にコントロールすることができます。この結果できたマークは、明るい茶色になります。漂白またはフォーミングとも呼ばれるこの加工は、残留物や粉末を残しません。

レーザーマーキング(表面)

Vitonの表面にファイバーレーザーでマーキングすることで、番号、テキスト、バーコード、写真などの情報を伝達できます。マークは恒久的で、ほどよいコントラストが得られるため、印字方法に代わる魅力的な方法となります。あまり明るいマークではありませんが、人や機械が情報を判読するのには十分です。

Viton®
ファイバーレーザーを使用してVitonの表面上にマーキングされたシリアル番号

複合加工

複数の加工をVitonに適用することができます。材料を動かしたり再固定したりする必要はありません。この例は、複数の加工を組み合わせた例(シートストックからVitonをカットし、チャネルを材料に彫刻し、シリアル番号を表面にマーキングする)を示しています。彫刻とマーキングは通常、複合加工での切断前に行います。

Viton®
レーザー切断、彫刻、および表面マーキングを施したViton

環境、健康および安全に関する考慮

レーザー素材の相互作用は、ほとんどの場合、ガス状流出物や微粒子、またはその両方を発生します。その複雑なポリマーの化学的性質により、CO2レーザーを使用するVitonのレーザー加工は、多様なフッ素含有ガス発生します。中でも最も注目すべき点は、この排出物はフッ化カルボニルおよびフッ化水素を含んでいることです。これらのガスおよび微粒子は、政府の規制に従って外部環境に排出しなければなりません。あるいは、最初に流出物をフィルターシステムで処理してから外部環境に排出することもできます。Vitonは高温に耐えますが、十分なレーザーエネルギーを供給すると発熱反応を起こすことがあります。したがって、Vitonのレーザー加工は常に監視されていなければなりません。