レーザー技術の歴史
レーザー技術は1900年代初頭、アルバート・アインシュタインによって提唱されました。その技術は1960年、最初のレーザーがヒューズ研究所によって製造されたことで進化を遂げました。以下のレーザー技術の進化の過程をご覧ください。
タイムライン
1917年
アルバート・アインシュタインが、すべてのレーザー操作の基礎となる「誘導放出」現象を予測し、レーザー技術の基礎を確立。
1939年
バレンティン・ファブリカントが、放射増幅をする誘導放出の使用法を理論化。
1950年
チャールズ・タウンズ、ニコライ・バソフおよびアレクサンダー・プロクロフが誘導放出の量子理論を発展させ、マイクロ波の誘導放射を実証。彼らはこの画期的な研究が認められ、後にノーベル物理学賞を受賞。
1959年
コロンビア大学の大学院生、ゴードン・グールドが、光の増幅に誘導放出が利用できると提唱。彼はコヒーレントな光の細いビームを生成できる光共振器の概念を示し、それを「放射の誘導放出による光増幅(LASER)」、つまりレーザーと名付けました。
1960年
セオドア・マイマンが、カリフォルニア州マリブにあるヒューズ研究所で最初のレーザー実用試作品を製造。このレーザーは、活性媒質として合成ルビーを使用し、694.3nmの波長をもつ深い赤色光ビームを放出しました。ルビーレーザーの最初の用途は軍事においての距離計測でした。高いピークパワーを持つため、現在でもダイヤモンドの穴あけに使用されています。
1963年
AT&Tベル研究所のクマール・パテルが炭酸ガス(CO2)レーザーを開発。CO2レーザーは、ルビーレーザーよりもはるかに低コストかつ高効率であり、50年以上に渡って最も普及した工業用レーザーとなっています。
レーザー加工の発展
1960年代
1964年に開発された最初のCO2レーザーの出力はわずか1mWでした。1967年までに、1,000Wを超える出力をもつCO2レーザーが可能となりました。レーザー加工の工業用途は、1967年5月にイギリスのケンブリッジにある溶接研究所(TWI)で、ピーター・ハドクロフトが厚さ1mmの鋼板切断に酸素アシストCO2レーザービームを使用したのが始まりです。
1970年代
初期の「レーザー加工」用途を受け、新しいタイプのレーザー開発とともに、CO2レーザーの改良が続きました。最初の2軸レーザーシステムは、1975年にレーザーワークA.G.社が開発。レーザーによる金属切断と溶接に価値を見出した自動車メーカーと航空機メーカーによって工業用途に導入されました。
1980年代
炭素ガススラブレーザーのような小型で安価なレーザーの導入がはじまり、「レーザー加工」の新しい時代を迎えました。金属の切断、溶接から、プラスチック、ゴム、フォームなどの有機材料の加工にまでアプリケーションが拡大しました。