レーザー加工システム購入時に考慮すべき安全基準
レーザー加工システムの安全性に関しては、安全意識が高く訓練されたオペレーターによって常時モニターされる必要があるということが大前提となります。これを怠ると、レーザーシステム、システムを運用する施設、そして周囲の従業員を大きな危険に晒すことになります。
ユニバーサルのレーザー切断、彫刻、マーキング機は、21 CFR 1040.10および1040.11に基づく食品医薬品局(FDA)の放射性医療機器センター(CDRH)部門と、EN60825-1に基づく欧州レーザー安全規制に準拠するように特別設計されています。
レーザー切断機、彫刻機およびマーキング機器の購入の際は、オペレーターの安全意識やトレーニングはもちろんのこと、安全に関する多くの事項を考慮する必要があります。大まかには、これらは以下のように分類できます:レーザーエネルギーに直接曝されることに対する考慮、火災に対する考慮、排気に対する考慮、および電気的考慮。
レーザーエネルギーに直接曝されることに関する考慮事項
レーザー安全基準は既に確立されており、国際的に見ても比較的統一されています。この統一されたレーザー安全規格の中でも最も一般的なのが、米国の21 CFR 1040.10 / 1040.11と欧州のEN60825-1の2つです。この統一規格では、製品のレーザー安全性に関する4つの大まかな分類がなされています。この分類範囲は、レーザーエネルギーがレーザーシステム内に完全に封じ込められ、オペレーターがレーザーエネルギーに曝さることはないクラス1から、レーザーシステムに封じ込め規定がなく、オペレーターが高レベルのレーザーエネルギーに潜在的に曝される可能性があるクラス4までに分類されます。クラス1レーザーシステムで素材を加工するには、素材がレーザーシステム内に完全にフィットする必要があります。
ユニバーサルのレーザー切断、彫刻およびマーキング機器は、加工レーザーのクラス 1の安全要件に合うように設計されています。つまり、素材加工に使用される全レーザーエネルギーは、完全に内側に封じ込められるように設計されています。これを実現するために、ユニバーサルのプラットフォームは、より硬いエンクロージャーと、全てのドアとアクセスパネルにラビリンスシールと冗長ハードウエアインターロックが採用されています。クラス1レーザー製品は、マニュアルに記載されている安全上の注意事項がすべて守られている限り、一般の人が使用しても安全であると考慮されています。クラス1レーザー製品の販売には特に規制はありません。クラス1レーザーシステムを操作するには、安全装置や特別な設備の調整は必要ありません。
全てのユニバーサルのレーザーシステムは、レーザーで加工される素材のアライメント用に低出力赤色ダイオードレーザーが装備されています。赤色ダイオードレーザーは、プレゼンテーションで使用されるレーザーポインターのようなもので、公共使用でも安全性が高いと考えられています。ユニバーサルの各種レーザーシステムは、アライメント用の赤色ダイオードレーザーの存在によりクラス2レーザーシステムと分類されていますが、加工レーザーとしてはクラス1要件を満たしています。
ユニバーサルのレーザーシステム(ILSおよびXLS)にはクラス4で駆動するものもあります。加工する素材が大きすぎてレーザーシステム内に収まらず、オプションのクラス4変換モジュールを装備して加工するときです。このモジュールは、サイドドアのインターロックをレーザーシステムにバイパスし、レーザーシステムの不正使用を防止するためのキースイッチ、レーザーの使用中を警告する発振インジケーター、およびレーザーが素材加工エリアに入ることをブロックする機械的シャッターなどのクラス4レーザーでのみ必要とされる安全機能を追加します。クラス4モードのレーザー切断、彫刻およびマーキング加工機の操作には、レーザーシステムのオペレーターおよび所有者に対する追加の制限が課せられています。それには、レーザーの安全性に関する訓練を受けたオペレーター、オペレーターのレーザーの安全保護装備、およびレーザーシステムが稼働する制限されたエリアの指定などの必要性などがあります。これらの安全対策の多くは、ANSI規定Z136.1「レーザー使用に対する全米規格」、欧州規格 EN 60825-11のようなその他多くの国にもある同等規格で概説されています。例えば、独国の事業者の賠償責任協会によるレーザービームの規格BGV B2のような、その他の安全対策が州や地方自治体によって課せられる場合もあります。これらの法律を理解し遵守することは、クラス4レーザーシステム所有者の責任です。
火災に対する考慮
ある悪条件が重なると、レーザー加工されている素材が発火し、燃焼し続ける可能性があり、レーザー加工機および周囲にあるものに損傷を与えることがあります。これにより、周辺にいる人に安全上の危険が生じる可能性があります。ユニバーサルのレーザー切断、彫刻およびマーキング機器では、いくつかの方法でこの問題に取り組んでいます。
すべてのユニバーサルのシステムは、スチール、アルミニウム、およびラミネートされた安全ガラスで作られています。これらの材料は、高温でも発火せず、筺体内で発生した火災を抑えるように設計されています。すべてのレーザーシステム製造業者が耐火材料を使用しているわけではありません。一部の会社では、筺体内と筺体自体の両方で可燃性物質を使用しています。これでは火災の可能性を高め、火災の封じ込めができません。
レーザーを使用し素材加工をおこなう際の、燃焼とその後に続く火災を防止するための最も重要な方法は、オペレーターが絶えずレーザー加工を監視することです。監視のバックアップとして、ユニバーサルはレーザーシステムとその周辺に対する損傷を軽減することに役立つ火災鎮圧オプションを開発し、これはXLSレーザーシステムで使用可能です。火災鎮圧モジュールは、加工材料の燃焼が検出された場合、火災抑制剤をレーザー加工エリアに噴霧します。詳細は火災鎮圧をご参照ください。
排気に対する考慮
レーザー加工は、微粒子(煙)、および揮発性有機化合物またはVOC(フューム)からなる副生成物を発生するため、それをレーザーシステムの加工エリアから除去し、安全かつ適切に処理する必要があります。外部排出前の可能な時点で、排出エアから副生成物をフィルターにかけることが最善の方法です。ユニバーサルでは、各レーザーシステムに適したサイズの各種エアフィルターソリューションを提供しています。このエアフィルター ソリューションには、性能と安全性を向上させるための特許技術があります。UACエアフィルターユニットの詳細をご覧ください。
電気的な考慮
ユニバーサルのレーザーシステムは、情報技術機器UL/EN60895の国際的に認知され整合された安全基準を満たすように設計されています。この一般安全基準の主な懸念事項の1つは、電気の安全性です。ユニバーサルのレーザー光源は、すべて空冷式で低電圧RF電源で駆動します。一方、高電圧DCによって電力給電される水冷ガラスレーザー管を使用しているその他のレーザーシステム製造業者もあります。
水と高電圧電子機器は、例えば水漏れなど、いずれかのシステムが適切に機能しなかった場合、常に安全上の危険があります。ガラス管レーザーの電源は2万5千Vを超える駆動電圧があり、高電圧ケーブルやコネクタを介して常に遠隔接続されているため、死に至る感電の危険性があります。さらに、ガラス管レーザー光源に電力供給する電源は、電流範囲(30〜150mA)で駆動し、これは特に人間の心臓に危険な除細動を引き起こし死に至ることもあります。この技術では、レーザー管内のガスをイオン化するためにこのような高電圧を必要とします。
ガラス管レーザーの使用に関する多くの安全上の懸念から、ユニバーサルでは、高電圧ガラスレーザーを使用したレーザー加工システムの購入を検討することはお客様にお勧めしておりません。